2010年12月30日木曜日

「愉楽の園」宮本輝


 2010年12月30日、読了。市内の喫茶店でコーヒーを注文し、気分よく読み終えることができました。
 会社を辞めて旅に出てしまった野口も、タイの暮らしに見切りを付けた藤倉も、2人とも、それまでの連続していた日々に1つの区切りを付けるというところが共通していました。
 わたしはこの年末年始、いつもより長めの休みを取りました。野口のように会社を辞めるほどの「勇気」はないけど、そうしてしまいたい衝動は確実にあって、心身ともに休ませないといけないと思ったから。こんな時期にまとまった休みを取るのはよくないことなのかもしれないけど、親しい人から「心の声に従ったほうがいい」と勧められたことが後押しとなって、ゆっくり過ごしています。
 私がこれまで日々書き続けてきたのは何のためなのか、この先、何のために書き続けるのか。容易に答えが出るわけではない自問ですが、答えを出すことを目的とせず、考えることの目的として自らに問い続けるのがいいかもしれません。

 宮本輝の作品はほかに何冊か手元に置いてあります。以前読んだ作品もあれば、まだ読んだこともない本もあります。古本屋で手当たり次第に買ってきたのですが、そんなふうにして好きな作家の本を買い込むことも久しくやっていなかったことです。随分以前にどこかに置いてきてしまった私自身の感覚みたいなものを取り戻してみたい。

0 件のコメント: