2011年07月09日、「台北電影節」でタイ映画の「SuckSeed」を観て、北京語の字幕が理解できなかったことは心残りだけど、台湾の人たちが映画の内容にダイレクトに反応し、登場人物たちにストレートに感情移入していることが分かったのは良かったし、とても好感が持てました。
映画の出来が良かったからということもあるのだけど、映画が終わると、拍手喝さい。これはもう、すっかり「やんや」という感じ。私は前から2列目というポジションにいたからよく観察できなかったけど、ひょっとしたら、立って拍手していた人もいたんじゃないかと思わせるほどの反応の良さ。難しい顔をして、評論家然としている人がいたとしたら、絶対に、浮いてしまうはず。
こういうのはいいなぁ。
もう一つ印象に残っていること。主人公の男の子(ジラーユ・ラオンマニーという子だそうです)が、女の子に告白しそうになるシーン。電話でこんなやりとり。
女の子「私のこと好き?」
男の子「前は好きだったよ」
女の子「今は?」
これはやっぱり、「今も」と答えてほしいと思わせるような筋立てになっているのだけど、それはともかくとして、そう答えるんじゃないかという期待が、映画を見ている人たちの間を覆い尽くす。そして、
男の子「いや」
この答えを聞いた瞬間、がっかりというか、「なんで!」という疑念というか、そういう気持ちがまたもや会場いっぱいに広がり、「う」とも、「あ」とも、表現にしようのない、小さなため息が漏れるのです。
観客が作中人物と完全に一体化してしまっているところが、素晴らしい。観に来た人が素直に感情移入して楽しんでいるのです。
台湾映画は前から好きだったけど、台湾の人たちが映画に対して示すリアクションも好きになりました。