2008年9月27日土曜日

土地公祭


 石垣島の土地公祭は今年、予定より1週間遅れの9月21日に開かれました。供え物のブタは2頭。口に噛ませた柑橘類に、台湾独特の細長い線香を突き刺し、そこから煙を立ち上らせます。1980年の土地公祭と比較してみてください。モノクロかカラーかという違いを超えて、風情の違いが分かるはずです。

 今年の土地公祭では、両親が台湾出身、自分自身は石垣島出身という若者に出会いました。高校を卒業したあと、しばらく島を離れていたUターンです。若い華僑が土地公祭に来ているのなら、手伝いやら何やらといった裏方をやっていいように思うのですが、彼は観察者としてそこへ来ていました。幼いころ、一緒に遊んだりしたような世代の華僑もきていて、声を掛け合ったりはしているのですが、彼らが土地公祭に参加しているようには振る舞わない。遠くから見ている。

 「土地公祭に島の人(台湾関係者以外の石垣の人)は参加するのか?」

 「土地公祭に以外の、八重山の祭りにはどのようなものがあるのか?」

 観光客や、つい最近引っ越してきたような人でも知っていそうなことを、彼は私に質問してくるのでした。そんな彼に、私は奇異な印象を受けたのですが、彼のような若者がむしろ普通なのではないかと思い直しました。しばらく島を離れ、本土からの視線で島を見ていた彼が島へ戻ってきたとき、島のことに初めて興味を抱いたのかもしれません。

 それともう1つ。

 彼が、島で生活していたころ、つまり、島を出ていく前、台湾出身の両親を持つという自分の立場に肯定感を持つことができなかったのかもしれません。だから、いかにも台湾的な土地公祭から離れていた。今なら、台湾的なものに接することに抵抗感はなく、逆にもっと触れたいと思うようになった。

 推測してみれば、そのようなことがいえるのかもしれません。

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