2008年9月14日日曜日

八重山と金門


 与那国島は台湾との距離がわずか100キロ余り。JALのウェブで見ると、県庁所在地の那覇までは316マイル、つまり約500キロ。
 一方、金門國家公園のウェブによると、金門は対岸の大陸アモイまで10キロ、台湾までは277キロ。
 与那国と金門の共通点といえば、どちらも行政の区域でみると、中心から遠く離れているんだけど、国交が成り立たっていない場所とはすごく近いということ。
 共通していないのは、その国交が成り立っていない場所との間を行き来が、金門では可能で、与那国ではほとんどできないということ。
 しかし、与那国と台湾との間の直航は緒に就いたばかり。去年10月に与那国台北、今年7月に与那国花蓮の間を直航チャーター便が飛び、徐々に実績づくりが進んでいます。写真は去年10月に運航した台北発与那国行きの搭乗券です。今年度後半にも船や飛行機による直航便が運航されることになりそうです。与那国町は、台湾との交流を図ることによって、島の経済を浮揚させようとしているけど、島に住む人たちにその成果が行き渡るまでは至っていません。その途上にあるといえます。
 
 この状況に「与那国が自立していくためには、台湾とうまくやっていくしか方法がない」と思う私。ある政治学者にこの話をしたら、似ているようで異なる指摘を受けました。「与那国は、頼るべき台湾がすぐ近くにあるだけ幸せ」とのこと。起爆剤の“軸”となるようなものを探すのだけで大変だ―という地域があるということなのでしょう。
 
 台湾から来た別の研究者と、金門と八重山の共通点や相違点について話をする機会がありました。金門にはいわゆる「小三通」がありますが、その成果は当初予想されていたほどではないし、今後もし「大三通」が始まってしまったら、どうなるのか分からないという悲観的な見方もあるのだそうです。実際に金門を訪問し、その状況をチェックしてみたいものです。与那国のことを頭の隅っこに置きながら、金門のことを見てみると、与那国が台湾との間でどのような関係を結ぶべきか、日台間を往来する人やモノの流れの中で、与那国がどのようなポジションを見いだせるのかを考えるヒントをつかめそうです。

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